わたしの大好きな高楼方子さんの世界
こんにちはgigiです。
わたしは小さい頃から本を読むことが好きで、
小学校低学年くらいのときはクレヨンハウスから毎月選りすぐりの本が届くサービスを母が手続きしてくれていたので読む本には困らないほど本に囲まれて生活をしていました。
大きくなるにつれ本を読む回数は減ってしまったのですが、
今年の夏に急にふと、また本が読みたくなり、
今ではまた本に囲まれた図書館通いの日々となっています。
本にも色々ありますが、
わたしはなんといっても児童文学が大好き。
大人になってから読む児童文学は、
小さい頃読んでいたときとまた違う視点で読むことができるのと、
単純にストーリーが面白いものが多いのが児童文学の特徴だと思っています。
児童文学も様々な作家さんがいらっしゃいますが、
わたしは高楼方子(たかどのほうこ)さんの作品が大好きなんです。
高楼方子さんの作品は、
リアルな日常生活の中にふっと摩訶不思議なことが起きる。
けれど、その摩訶不思議な世界は限られた人しか見たり入っていくことが出来ない。
息をひそめてただじっとその心の内に潜めておかないといけないような秘密を共有しているようなドキドキ感。
そのような世界観の作品が多いと思います。
主人公はほとんどが女の子で、読み進めていくうちに、
どんどん摩訶不思議な高楼方子ワールドへ惹き込まれていきます。
わたしが高楼方子さんのことを知ったのは実は最近のことなのですが、
小さい頃クレヨンハウスから届いた本の中に「十一月の扉」がありました。
今年の夏に、小さい頃に読んでいた作品をまた読みたいと思って、
再び図書館で巡り会ったのがこの作品でした。
ひとりの女の子が少しの間親元を離れ、
"十一月荘"で過ごす、というおはなしなのですが、
十一月荘の外装や内装が事細かに文章で表現されているので、読んでいてまるで自分も十一月荘にいるような感覚に陥ってしまいました。
高楼方子さんの作品は建物や小物類、芸術品のような美しいものの描写がとても細やかに文章にしたためられているので、読んでいてとてもときめいてしまうのです。
言葉に表現するのは難しいのですが、誰も気づかないようなところにこっそり咲いた、小さいけれどとても綺麗なお花を自分だけが見つけて密かに愛でるような感じと近いものを感じます。
「十一月の扉」を読んで、もっとこの人の本を読みたいと思って、図書館に行く度に高楼方子さんの作品を次から次へと借りて読んでいくようになります。
次に借りたのが「わたしたちの帽子」でした。
「わたしたちの帽子」は、「十一月の扉」とはまた少し違って、
不思議な女の子"育ちゃん"と一緒にビルの中を冒険していくおはなしなのですが、
その"育ちゃん"という女の子が存在しているのか、いないのかとても気になってあっという間に読み切ってしまいました。
予想のつかない驚きの連続で、高楼方子さんの作品に惹き込まれ始めるきっかけとなった作品でした。
そして次に、高楼方子ワールドの虜になってしまった作品
「時計坂の家」です。
もうとにかく強く衝撃を受けた作品で、本を読み終わった後も興奮してドキドキが止まらなくなったのは初めてのことでした。
まさに高楼方子ワールド全開!のおはなしです。
高楼方子さんのエッセイ「記憶の小瓶」にも書かれていたのですが、
なんだか好きだ、と思える色々なものを詰め込んだような作品
こそが、この「時計坂の家」の物語になります。
夏休みの間おじいさんの家に来た主人公"フー子"が、家の階段の踊り場に不自然に付けられた階段に気付き、そこにはドアがあったであろう場所。そしてそこに吊り下げられている1つの古い懐中時計...
そこから始まる不思議だけどとても美しい物語に、自分がまるでフー子になったかのように惹き込まれていく感覚は他では味わえないものだと思いました。
これを書いている今も思い出してつい胸の内が震えるような感覚に陥っています(笑)
何度体験しても、慣れるということのないできごとがあるとしたら、これもそのひとつだった。
言いようのない不可思議さに、初めてのときと同じ眩暈を覚えるのだ。
そしてやがて、目の前に、ぼんやり、ぼんやり、緑色の景色があらわれる。
牡丹色の靄の中から、ふうわり、ふうわり、立ちあらわれてくるのだ。
本を開くとこの図柄が出てくるのですが、
読み終わった後改めてこの図柄を見ると、ハッとしてしまうのです。
そして、また違った意味で衝撃を受けた作品が
「ココの詩」でした。
人形"ココ"の冒険物語なのですが、ただの冒険物語ではないのが高楼方子さんらしい作品だと思います。
物語が後半になるにつれ、どんどん先が見えないような、まさか、まさか!な展開が続いていき、ラストは少しショックを受けてしまう人もいるかもしれません。
わたしも読み終わった後はしばらく呆然としてしまいましたが、読み終わった後、また最初から読むとまた違った視点から読み取ることができて面白いと思います。
高楼方子さんの作品は、上記に挙げた不思議な世界観の強い作品もありますが、クスッと笑えるけれどちょっとだけ不思議な作品もあります。
中でもわたしが好きなのは、
「いたずらおばあさん」
「ニレの木広場のモモモ館」
「4ミリ同盟」です。
「いたずらおばあさん」もクレヨンハウスから届いた本の中にありました。
当時わたしはこの本が大好きで、好きな本を集めたラックにこの本も一緒に並べていたほどお気に入りの作品だったのですが、まさか「十一月の扉」と同じ作者さんだったとは当時のわたしは気付いていなかったようです。
84歳のえらいえらい洋服研究家の"エラババ先生"は、長い年月をかけてついに「若返る服」を発明します。
そして密かに68歳の弟子のヒョコルさんを迎え、2人のおばあさんが8歳のエラちゃんとヒョコちゃんになって、いけすかない大人達をいたずらでぎゃふんと言わせる痛快な物語です。
高楼方子さんの作品にはおばあさんが登場するものが多いのですが、高楼方子さん自身もおばあさんが好きなようで、エッセイ「老嬢物語」
にも、これまで出会ったおばあさん達について書かれています。
「ニレの木広場のモモモ館」は、
小さい頃は画用紙や細々したものを使った工作って本当に楽しくてウキウキしたなぁという気持ちが、読んでいてとても懐かしく感じる作品でした。
しかし、ほのぼのとした子供達の日常だけではないのが高楼方子さんの作品。実は所々に伏線が張めぐされているのがこのおはなしの面白いところなんです。
子供達が作った壁新聞も読むことが出来るのですが、それもとても面白いので読んでいてとても楽しい作品でした。
そして「4ミリ同盟」。
ある街の人々は、フラノココ島にあるフラノココノ実を食べないことには、どうにもこうにもやっていけなくなるという、不思議な体質をしています。
しかし、フラノココ島に行こうとすると、何かしら障害が起きて行くことのできなかったのが「4ミリ同盟」の人達。それぞれ力を合わせてフラノココ島に行くのですが...というおはなしです。
4ミリ同盟の人達は、みんなとはちょっと違うんです。
でも、違っていいんです。違うからいい。
子供心を忘れずに、お茶目に生きていきたいなぁと思う作品です。
【番外編】
高楼方子さんは「小公女」の訳本も書かれています。
- 作者: フランシス・ホジソン・バーネット,エセル・フランクリン・ベッツ,高楼方子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2011/09/15
- メディア: 単行本
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高楼方子さんの「緑の模様画」の作品の中に色濃く登場するのがこの「小公女」の物語です。
わたしは先に「緑の模様画」を読んでいたのですが、実はわたし、小公女のおはなしは読んだことも、アニメも見たこともなかったのですごく気になって図書館で小公女の本を探したら、なんと!高楼方子さん翻訳の小公女が出ているじゃないですか!
嬉嬉として借りて読んだのですが、途中、セーラが飢えで苦しむところは読んでいてとても辛くて何度も本を閉じなくては読み進められないほどでした...
児童文学にしてはむごい展開でびっくりしました。でもアニメも観たい。
翻訳本ってものによってはとても読みずらいものもあるのですが、高楼方子さん翻訳の小公女はとても読みやすいものでした。でも読みやすいがゆえ、物語に入り込めてしまって途中は辛かったです(笑)
余談ですが、千葉県にある本屋さんで高楼方子さんのトークショーを開催するという案内があったのですが、知ったときには既に完売でショック( ・ᴗ・̥̥̥ )
またお目にかかれる機会があったら逃さずにチェックしようと思っています。
密かにgigiの読書専用アカウントのInstagramでも読んだ本について書いています( ¨̮ )